私なんて機械のようなもの 「私」なんて幻想にしかすぎない
あらゆるものは分子→原子→素粒子に分解することができます。
何もないように見える空間でも、そこには空気があり、空気はやはり最終的には素粒子から構成されています。
宇宙を構成する最小の単位は素粒子です。
素粒子は、いろいろと組み合わせを変えながら、モノや生物を作り出しています。
あなた、という個体も作っているのです。
私たちの本当の姿は究極的には素粒子にしか過ぎません。
その素粒子は宇宙の誕生と共にできて、その数は減りもしないし増えもしていません。
私たちの体を構成している素粒子は、あるときは別の惑星の構成物であったかも知れないし、
古代の生物の構成物であったかも知れません。
私たちは素粒子から構成された細胞から生まれ、
毎日、その素粒子は入れ替わりながら体を作っています。
脳が作られ、脳は記憶を発達させ、言葉を作りました。
言葉は思考を作り、思考と記憶は「私」というものを作りました。
体は日々入れ替わり、細胞も死滅と再生を繰り返し、7年も経つとすっかりと全体が入れ替わるのに、
「私」だけは変わらずあるように錯覚するのです。
この世界に変わらずあるものは存在しません。
変わらずあるものが存在するなら、どうしてそれが生まれ、なぜ滅ぶことができるのでしょうか。
つまり、この「私」こそ脳が生み出す最大の幻想であり、まやかしなのです。
その証拠に言葉を覚える前の赤ん坊や言葉を忘れた認知症の老人に鏡を見せると、
鏡に映った自分に話しかけたり、触ろうとします。
それは「私」がないからです。
「私」がないから「私」と「他人」の区別ができないのです。
彼らに共通しているのは言葉がないということです。
言葉がなければ思考もなく、記憶の整理もできません。
言葉や記憶の整理がなければ「私」はないのです。
だから彼らには「私」がないのです。
こんな私たちも死ぬとまた素粒子に変わり他のいろいろなものの構成物になります。
今の私たちを作っている構成物はすべて過去からの使いまわしにしかすぎないのです。
私たちの脳もそういった究極的には素粒子から構成された有機物にしか過ぎません。
その有機物の働きとして、脳内に思考や感情というものを作り出します。
思考や感情はモノではありません。
脳の働きの結果、脳内に生ずる幻想や妄想なのです。
それらは事実や真実ではありません。
脳の働きが作り出す幻想や妄想にしかすぎません。
それらを事実や真実と受け止めると苦しくなるのです。
Lineで既読無視をされた、それは私のことを無視して馬鹿にしているに違いない
態度がよそよそしい、きっと私のことを嫌っているに違いない
私の人生はこれまで悲惨であったから、これからもそうだろう
緊張して不安になって、人から変に思われるから、人前が怖い
思考がどんなに真実のように思えても、推測、解釈、理由付け、評価というすべて頭の中の出来事なのです。
自分の頭の中に自動的に発生した思考、思考から生まれる感情によって、自分が苦しんでいるだけなのです。
動物や植物は刺激があると反応します。
怒らせる言動をすると人は怒ります。
ほめると大抵の人はいい気分になります。
どんな形であれ、刺激に対して反応します。
まさに、機械のようなモノです。
反応の仕方が違うだけで、機械と同じなのです。
その機械に内蔵されている脳という機械は、頭の中に映像を作り出し、それを事実であるかのように示します。
事実ととらえて、私たちは行動します。
うまくいっているときは何の問題もないのですが、うまくいっていないときは、
脳が作り出す映像にしかすぎないこと、それが事実でないことをしっかりと理解する必要があります。
それは理解できるけれど、なかなかそうはできない
というのは、全く理解できていない証拠なのです。
映像をやはり、事実だととらえているのです。
私たちがどんなに苦しくつらくても、他人はそれを見て体験することができません。
それが、脳内の出来事が幻想であり妄想であることの証拠なのです。
ほとんどの人は、それを映像だと思わず、事実だと信じます。
一部の人は、それが機械が作り出した単なる反応にしか過ぎないと知ります。
そんな頭の中にしかない幻想や妄想に振り回されて、
一度しかない限りある人生を無駄に使う必要はないのです。
私たちはどうしても、私たちの目線からしか物事を把握できません。
しかし、どんなに自分に価値を置いても、全世界の人口７０億分の１にしかすぎません。
全宇宙から見ると、ないに等しい存在です。
私たちが生まれる前の宇宙ができてからの時間１３７億年と比べると私たちの生は一瞬なのです。
素粒子から構成されて形作られ、素粒子に帰る、その時間はほんの一瞬なのです。
私たちはたまたま生を今受けています。
生きていること自体、そして生きてこうやって皆さんと交流していること自体が貴重なのです。
どうせいつかは必ず、素粒子に帰るのですから、今、この時を脳内の幻想や妄想に振り回されて生きるより、
もっと活き活きと生きることはできるのです。
脳内の幻想や妄想を自覚することによって、私たちは不必要な苦しみから抜け出すことができるのです。
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