勘違いも甚だしい・・・
「しかし、腹が立ったり、不安になったりすることは仕方ないじゃないですか」
というメールやメッセージをいただいたり、メンタルサロンでそんな質問を良く受けます。
私の答えはいつもこうです。
「はい、仕方ないですね。当たり前のことです」
と。
このように質問する人は、根本的に何かとんでもない思い違いをしているのです。
たとえば、私が腹を立てたり、不安になったりしてはいけないと主張し、腹が立たない方法や不安にならない方法を推奨していると考えているのではないでしょうか。
あるいは仏教的な悟りを目指しているとか、哲人を目指しているとか、道徳的な何かを目指しているのかとでも思っているのでしょうか。
腹が立ってしまうこと、不安になってしまうことは仕方がないのです。
これを防止することはできません。
腹が立たないこと、不安にならないことというのは、これまで私たちが何百回、何千回も人生で行ってきた方法です。
それらの方法は確かに一時的にはホッとするからこそ、同じことを繰り返すのです。
しかし、何度も行ってきたこと自体、それが長期的に見て効果がない方法なのです。
私たちがやってきた方法は、思考や感情に振り回されて生きるものでした。
つまり、何か行動するときに思考や感情を最善の状態に保たないと行動できなくなるのです。
行動するときに思考や感情を、まずはコントロールしようということになるのです。
私たちが同じことを繰り返してしまうのは、
『多くの人が思考や感情をコントロールしようと言い続けてきて、社会的にもそう思わされているからなのです。
だからこそ、思考や感情に対する方法がコントロールや回避くらいしかないと考え、そのことだけしかやってこなかった』
からなのです。
ここでよく考えてもらいたいことは、もし思考や感情がコントロールできるなら、どうして争いや戦争、憎しみや不安、恐怖などがあるのでしょうか。
そんなものなくなったためしはないですし、これからもなくなることはないのです。
「私はバナナ」
と思い込んでください。
完全にバナナと思い込むのです。
もし、思考や感情がコントロールできるなら簡単なことでしょう。
しかし、私がバナナであることとバナナと思うことは別だということがわかるはずです。
思考の内容を信じないということはこのようなことです。
「私はバナナ」という考えが浮かんできても、「変な考えが浮かんだなあ」だけで終わるでしょう。
本来、思考というものはそういうものなのです。
ところが、
「私は無能」
と思えばどうなるでしょうか。
本当に無能であると信じ込む人もいるでしょう。
しかも、無能である証拠まで記憶から引っ張り出してきて、ますますこの思考を事実だと思う傾向があることに気がつくでしょう。
私は無能とは同一ではなく、「私は無能という思考を持っている」にしか過ぎません。
しかし、この思考を信じると「私そのものが無能と同一」と信じてしまうのです。
上の「バナナ」と「無能」にどんな違いがあるのでしょうか。
次に、
「高さ100メートルにある幅30センチの出っ張りに立って、少し、ほんの少しでも恐怖を感じたら墜落する」
と言われて、感情をコントロールできるでしょうか。
感情がコントロールできるという人、どうぞやってみてください。
このような思考実験ではなく、実際にやってみてください。
バナナとか100メートルの高さの30センチの出っ張りを、私たちの辛いこと、嫌なこと、恐怖を感じることに置き換えてください。
コントロールしようとすればするほどぬかるみにはまってしまうでしょう。
あるいは、
「あなたの行きつけのコンビニ。そのコンビニの名前を忘れてください」
どうですか?忘れましたか?
もし、コンビニの名前を辛いこと、苦しいこと、嫌な思い出だったらどうでしょうか。
悩んでいる人にどう言っていいのかわからず、無責任にも「そんなことを忘れよう」と声をかけてしまうことがあります。
きっと、忘れようとすればするほど思い出すでしょう。
辛いことは忘れよう、といとも簡単に言いますが、本当に忘れた人なんていないはずです。
そして、その辛い内容がとても痛みを伴う時、忘れようとすればするほど、やはりぬかるみにはまるのです。
このように、とても簡単な実験でも思考や感情がコントロールできないとわかるのに、それでも
「秘密の方法があるに違いない」
と信じ込み、そこまでして嫌な思考や感情から逃れようとします。
その間、私たちが人生でやりたいことができなくなっています。
人生でやりたいことというのは、好き勝手なことをすることではなく、私たちが生きていて、人生の中で人として生きるに値する価値のあること、です。
気の合う人とだけ付き合ってみたい、そう考えたとしましょう。
そのことを大切な価値観として生きたとしましょう。
どうなってしまうでしょうか。
気が合うかどうかを決めるのは私たちです。
しかし、気が合わない人は、生きているとどこにでもいます。
向こうからやってくることもあります。
私たちでコントロールできないことです。
そして、気が合うか合わないかは、私たちの気まぐれで移り気な思考や感情が決めてしまいます。
一方で、望まないのに嫌なことはやってきて、一方で気まぐれな思考や感情が好き嫌いを決定するのです。
これだけでも苦しいことを自らやっているようなものですよね。
そして、それらを避けている人の特徴を見てみると、
『人間関係はとても狭く、不安定で、対人トラブルが多く、対社会スキルも未熟で、マイルールを人や社会に押しつける人から見たら厄介な人』
になっていることに気がつくでしょう。
これがコントロールと回避の成れの果てなのです。
嫌な思考や感情が湧き上がってくることは仕方ないのです。
止めようもないし、これを止めようとしてコントロールや回避をすると一時的にはホッとしますが、長期的には人生を硬直化します。
代償を支払いながら生き続けるようなものです。
嫌な思考や感情は、行動を直接支配しないのですから、思考や感情の言うがままに行動するのではなく、嫌だとやもいながらも不安だと感じながらも、行動をするのです。
私たちは、これまでこんなスキルを磨くこともなかったですし、思いつきもしなかった人も多いでしょう。
「こんなことできるか」
という人もいます。
批判する人はどこにでもいますが、代案がなければ、
「では、あなたはどうするのですか」
という問いに答えることすらできません。
自分自身の姿が見えていないのです。
そして、これまでと同じことをやり続けるのです。
もちろん、どのようにするかは強制できるものでもないし、するべきものでもありません。
これまで通りのことをし続けるといいのですし、誰もその人を非難しないでしょう。
なぜなら、どうするかはその人の選択なのですから。
「こんなことできるか」
この言葉が、これまでの自分の方法を維持し続け、その呪縛から脱することができない呪いの呪文なのです。
呪いの呪文を人に発しているように見えながら、自分を呪縛しているのです。
なぜなら、その呪文を唱えている人こそ、何も変わらないこれまで通りの悪循環を生み出すやり方しかしないと宣言しているからです。
新しいスキルは知るだけではできません。
知るだけでできると思うのは、ありもしない魔法を求め、
『まさに、思考や感情をコントロールしない方法を使って、これまで通り、思考や感情をコントロールしようという、最悪の方法をやり続けている』
のです。
新しい方法を、これまで通りの悪循環を作り出す旧来の方法に利用するのは、意味がないどころか、一層人生の幅を狭くしてしまうのです。
この新しいやり方は、科学的手法で実験を繰り返す認知行動療法、とりわけ私たちV.d.s.のベースにある第3世代認知行動療法では実証済みなのです。
こういった方法で効果を生み出すには、どうしても集中的に行う必要があります。
気がついたらいつもと同じパターンにはまっている、というのは自分自身の思考や感情がターゲットとなるのに、私たちはターゲットとなる思考や感情に簡単に取り込まれてしまうからです。
旧来の思考パターンを持った思考から導き出される結論は、ほとんどこれまでと同じ結論である、ということに気づきもしないし、気づくのが難しいからです。
だからこそ、私たちV.d.s.は研究会を作ってそこでスキルを定期的に磨いているのです。
いったん苦悩に取り込まれてしまうと身動き取れず、そのことばかり考えて、トラブルを増やすより、嫌なことがあったとしても、それとは関係なく本来やりたいことができる人生こそ、役立つものと思いませんか。
都合のいい幸せはこの世には存在しないし、感情として感じる幸せなど、移ろい行き湧いては消える感情に振り回されて生きる方法なのです。
そんなことよりはるかに実際的で現実的な生き方を望みませんか。
それはあなたの持つ潜在的な能力の制限を外す作業に似ているものです。
自分の行動を縛っている、思考や感情の制限を外して、自作自演の「私は○○できない」という人生芝居をやめることは可能なことなのです。
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